40年ぶりの電話から始まった

きっかけは、一本の電話でした。電話の主は、かつて野々村さんのファンクラブで働いていた女性。40年近く音信不通だった彼女は、石川県で介護施設を経営していました。

「真、よかったら施設に遊びに来てくれない? みんな喜ぶと思うから」

介護施設を訪ねるのは初めて。「僕なんかが行って大丈夫なのかな」と戸惑いながらも、サプライズで施設を訪れると、職員から歓声が上がりました。利用者のもとへ駆け寄り、「皆さんに会いに来ましたよ」と手を握ると、思いがけない反応が返ってきました。

「うまくお話ができない方も、目を丸くして、僕の手をギュッと握り返してくれるんです。自分の胸元まで引き寄せてくれる方や、涙ぐんでくださる方もいて……。僕の方が感動してしまった。僕にもまだまだできることがあるんだって、勇気をもらったんです」

応援してくれた世代へ、感謝を込めて

今、介護施設で暮らす方々の多くは、野々村さんが10代後半で芸能界に入り、テレビに出始めた頃、「頑張れ」と息子のように応援してくれた世代です。38年間出演した『世界ふしぎ発見!』が終了したタイミングで、「今度はこういうことをやっていきなさい」と、導かれたように感じたそうです。さらに、そこにはもう一つの想いもありました。

「僕はずっと忙しくて、父にも母にも親孝行らしい親孝行をしないまま、二人とも亡くなってしまったんです。施設で高齢者の方と触れ合うことで、父や母への感謝を思い出せたら、それも僕にとって嬉しいことなんです」

本誌では、こうした想いから生まれた「AI野々村真」の挑戦や、介護の現場をともにつくるチームの一員でありたいという姿勢についても伺っています。続きは『エール』2026年秋号でお楽しみください。