「何歳まで働かれるんですか?」
入江孝さんは、そう尋ねられることが少なくないといいます。けれど、そのたびに思うことがあります。
「私は今、“働いている”というより、やりたいことをやっているんです。やりたいことを、いつ辞めるかなんて、普通は考えないでしょう」
その言葉には、肩書きや年齢にとらわれず、自分の経験を誰かのために活かし続ける人の、静かな強さがあります。
役職定年の先に見つけた、新しい役割
高校卒業後、入江さんはNTT西日本グループで営業・営業企画の道を歩んできました。営業戦略の立案や組織育成に長く携わってきましたが、55歳で役職定年を迎えたとき、立場も給与も大きく変わりました。
再雇用先で任されたのは、営業社員の中途採用と育成。これまでとは違う役割に、最初は戸惑いもあったといいます。
転機になったのは、平均寿命が80歳を超える時代に、「自分にはまだ20年以上ある」と気づいたことでした。肩書きへのこだわりを少しずつ手放し、今の自分に何ができるのか、周囲から何を求められているのかを見つめ直していきます。
営業日報を活用し、社員一人ひとりの状況を見える化する。課題や目標を共有し、本人が成長を実感できる仕組みをつくる。その取り組みのなかで、入江さんは人が少しずつ変わっていく喜びを知りました。
その育成の仕組みは本社でも評価され、60歳を前に育成部門の責任者に抜擢されます。さらに在職中から社外で研修や組織づくりの支援に取り組み、61歳で独立。iM-SETを立ち上げました。
これまでの経験を、誰かの未来を支える力に
現在は国家資格キャリアコンサルタントとして、企業向けのキャリア研修、セルフキャリアドック、管理職研修、個別面談などを行っています。
本誌では、一人ひとりの価値観や経験に寄り添う支援のあり方と、入江さんが見つけた仕事の意味を、さらに詳しく伺っています。続きは『エール』2026年夏号でお楽しみください。





