これからの人生を、どこで、誰と、どのように暮らしていくか。
鹿児島県の奄美群島に浮かぶ徳之島。その南西部に位置する伊仙町には、亜熱帯気候の豊かな自然と人々の営みがすぐ隣り合う暮らしがあります。
集落を抜ければサトウキビ畑が広がり、ガジュマルやソテツが日常の風景をつくる。いつでも海が視界に入り、夜は家から一歩出れば満天の星空。自然は観光に出かけて触れるものではなく、日々の暮らしのすぐそばにあります。
京都から徳之島へ、二人の選択
「私たち、このままここで朽ちていくの?」
子どもたちが独立し、長年ともに暮らした愛犬を見送ったころ、小百合さんがポツリと呟きました。
夫婦ともに京都生まれ、京都育ち。仕事をし、家を建て、子育てをし、ずっとここで生きてきました。しかし再び二人になった暮らしの中で「これから」を考えたとき、あまりにも容易に想像できてしまう自分たちの今後の姿。それを思うと、そんな言葉が自然と出てきたといいます。
徳之島の存在を知ったのは、島の日常を伝えるユーチューブがきっかけでした。2024年10月、二人は旅行として初めて徳之島を訪れました。この時点では、まさかその後、京都を離れる決断をすることなど、微塵も考えていませんでした。
滞在中に案内されたのは、有名な観光地よりも、島で暮らす人たちのもとでした。農家を訪ね、人と話し、日常に触れました。特に印象に残ったのは、伊仙町の人たちの飾らない人柄だったといいます。
「思ったことをストレートに言ってくれる。それが気持ちよくて、居やすかったですね」
達矢さんは、そう振り返ります。
数日を過ごすうち、二人の中には自然と「ここに移り住む」という思いが芽生えていきました。帰京後、達矢さんが京都の自宅を手放す手続きを始めたことに小百合さんは驚きましたが、反対はしませんでした。二人で移住を決意し、2025年10月2日、ついに徳之島へ移り住みました。
人生後半は、リスタートではなく「アップデート」
本誌では、移住後の仕事や創作活動、人とのつながり、伊仙町の受け入れ体制を紹介しています。秋宗夫妻の暮らしは、その後どのように変わったのでしょうか。続きは『エール』2026年秋号でお楽しみください。





